第1章 灰狼と赤烏 1

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オルド「ダメだ。魔術刻印は使用者との距離と反比例する。遠距離で撃っても射程が伸びるぐらいで威力は大して変わらねぇよ。それに銃への魔術刻印で強化されるのは銃だけだ。ただの鉛玉じゃ意味ねぇよ。」 エリック「でも魔術刻印の反比例は弾丸でも同じですよね?だったら弾丸に刻印しても意味ないんじゃないんですか?」 オルド「魔術刻印の使用者と距離に関しては例外がある。弾丸の場合なら使用者自身が魔術刻印を刻めば、最低でも100メートルは魔術刻印は機能する。」 エリック「そんな方法があるんですか。なら皆、自分で刻印を掘ればいいじゃないですか。」 オルド「バカか。弾丸一発といえど、刻むのに二時間は掛かるぜ。それに魔術刻印は使用するたびに魔術程ではないにしろ、精神力を削られる。そんなものバカスカ撃ってりゃあっと言う間に廃人になっちまう。」 魔術刻印 武器、鎧、盾などに刻まれる、または刻む刻印。 その刻印は用途によって異なり、溝に精神力を注ぎ込めば効力が発揮される。 また、刻印の深さによって注ぎ込める精神力の量が変化する。 軍からの支給品(剣、鎧、盾、服など)には予め刻印がされているが、経験豊富な軍人は自分で刻印をする者が多い。 グレイ「まぁ刻印弾っつっても、詠唱をちゃんとしてや口径さえ変えれば精神力はもつぜ。とゆうか知り合いに刻印銃と刻印弾で迷宮探索してる奴を知ってる。まぁそいつは例外だが。」 エリック「へぇ、世の中いろんな人が居るんですねぇ。」 グレイ「まぁな。生きて出られたら紹介してやるよ。それより見ろ。村だ。」 グレイが指さす方向には村があった。周囲には魔術刻印された巨木がバリケードの突き立てられており、中の様子は見えなかった。 エリック「迷宮の中によく住もうなんて思いますね。一体どういう神経してるんですかね?」 オルド「あそこに住んでるのは元軍人とその家族だ。危険な迷宮内に住む代わりに高額な報酬なんかを貰ってる。」 エリック「へぇ、ところで何で俺達は隠れてるんですか?」 グレイ「さっきオルドが言っただろ?元軍人が居るって。最悪の可能性を考えてここは避けていくぞ。指名手配なんてされてたら村一つ相手しなきゃいけなくなる。」 エリック「確かに。」 グレイ「よし、んじゃさっさと行くぜ。」 グレイ達は村の見張り台に警戒しつつ、迂回した。
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