第1章 灰狼と赤烏 1

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エリック「そういや目的地は三階なんですよね?階段でもあるんですか?」 エリックは鞄の中から水とパンを取り出しながら尋ねる。 オルド「階段というより壁だな。アレだ。」 オルドは進行方向にある山を指さす。 山は連なり、峰をなしている。見ようによっては壁とも言えなくはない。 エリック「あの山が壁?どういう事ですか?」 オルド「あの山の麓には大きなトンネルが掘られていて、それが山の向こう側に繋がっているんだ。ただ地面が迷宮の壁と似たような素材で出来ていて、それが迷宮の中心に向かうにつれ斜面になっているんだ。かなりの角度がついていて、山の向こう側に出る頃には100メートルは上の位置に居る。だから階って呼んでるんだ。」 エリック「へぇ。じゃあ二層ってあの山の頂上のことなんですか?絶対零度って感じしませんけど。」 エリックは山の頂上を染める雪を見る。 オルド「あれはただの山だ。二層へは一層五階にある梯子でしか行けない。しかも二層一階に着くまで三時間はかかる。五回ほど登ったが、途中から何を考えて登ってたか思い出せない程堪えたぜ。」 エリック「本当に広いんですね迷宮って。因みに目的地まではあとどの位かかるんですか?」 グレイ「一日かな。」 エリックは期待していた答えより遥かに長い時間を答えられ、硬直する。 エリック「一日!?冗談ですよね?」 グレイ「マジだよ。もともとは軍の地下通路使って五時間の予定だったんだが、最悪を考えたら徒歩のがマシだからな。」 エリック「えぇ~。ていうか軍の地下通路使ったらそんなに簡単に行けるんですか?列車でも走ってんですか?」 グレイ「一層は地下に列車。二層は所々に転送の魔術刻印。三層は第二師団の連中が居ないと一瞬で消し炭にされちまう。」 エリック「第二師団って魔術が主力の部隊ですよね?何をするんですか?」 グレイ「一度しか見てねぇが、進行方向に二層の一部を転送してた。それもバカデケェの。おかげで焼け死ぬことは無かったが、第二師団の五分の一は死んじまった。それ以降は知らねぇ。」
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