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朝。窓からは朝日が差し込み、微かに開いた隙間から小鳥のさえずりが聞こえる。
まだ人もまばらな早い時間に、一軒の二階建ての家屋の煙突から煙が上がっていた。
その家の住人が既に起床していることを示している。
グレイ「あ~あ。何が楽しくてこんな早い時間から働かなくちゃなんねぇんだよ。ダリィなぁ。眠てぇなぁ。サボろっかなぁ。どうせオルド一人でも何とかなるような仕事だし。」
半開きの目に気怠さぼ混じった声でグレイが愚痴る。
???「ふざけんなよクソ野郎。テメェの記憶は三日ごとにリセットされんのか?四日前に仕事フケて給料減らされたの忘れたか?」
台所で朝食の準備をしていた少年がグレイを鋭い目で睨んだ。
少年の名はシド。
銀の髪に赤い目をした少年だ。ついこの間までグレイと共にスラムで過ごしていた。グレイとは血は繋がっていない。
グレイ「おいおい、お前だって働いたら俺の気持ちはよく分かる筈だぜ?労働って言うのはな、嫌だ嫌だと思いつつも生きる為に疲れた体に鞭打って国に尽くすっていう、何とも尊い行為なんだぜ?」
シド「へぇ。それは誰が言ってたんだ?」
グレイ「ロックの爺さん。」
シド「そうか。昨日は何してたんだ?」
グレイ「見張り台で寝てた。」
グレイの顔面横一センチの位置に包丁が突き刺さる。
シド「テメェはオウムか?言葉を繰り返すなんて鳥でも出来んだよ。また見つかって給料減らされんぞ。」
シドが言い終わった瞬間、グレイは壁に刺さった包丁をシドの後頭部目掛けて投げた。
シドは咄嗟にそれを受け止める。
グレイ「テメェ馬鹿にしてんのか!!!鳥みたいに俺は歩きながらクソしたりしねぇぞ!!!」
シド「オツムの話してんだよ!!んなことしてる奴は人としてどうかしてるよ!!」
グレイ「それにもう見つかって給料は減らされてんだよクソが!!!」
シド「見つかってんのかよ!!!何逆切れしてんだこの無能が!!!もうさっさと仕事行けよ鳥頭が!!」
グレイはシドに蹴飛ばされ、玄関をぶち破り道に放り出された。
グレイ「・・・仕事行くか。」
グレイは打ち付けた腰を摩りながら立ち上がり、軍基地へ向かい歩き始めた。
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