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グレイが軍基地へ着くと新兵が午前の訓練の為に表に集まっていた。
その中に一人、グレイは見え覚えのある顔を見つけた。
グレイ「おっ、おーい。お前アルじゃねぇか?」
グレイが名前を呼ぶと、一人の青年が振り返る。
黒い髪に細身の体。パッと見は軍人とは見えないような体型だが、よく見るとその体はよく鍛えられており、周りの新兵よりも軍という環境に馴染んで見えた。
アル「グレイさんじゃないですか!こんな早い時間に珍しいですね。今日の迷宮は槍でも降るのかな?」
グレイ「新兵の癖に冗談言ってんじゃねぇよ。それより名前は貰ったのか?」
本来、人が生きていくのに名前は一つで十分だ。
だが軍に所属すると、同名の者との差別化や所属、またはこれまでの善行、悪行などによって、もう一つの名前を与えられる。
例;グレイ・「ジーク」、オルド・「クロウ」
アル「もちろん貰いましたよ。ガーディアンなんて不釣り合いな名前ですけど。」
グレイはその名前を聞くと妙に納得した。
グレイ「お前らしくていいじゃねぇか。そうだ!お前俺の隊に来いよ!どうせまだ所属も決まってねぇんだろ?今俺の隊にゃ二人しかいねぇから人手が欲しいんだよ。」
アル「隊?グレイさんが隊長ですか?」
グレイ「当たり前じゃねぇか。」
グレイのその言葉を聞いたアルは、露骨に嫌な顔をした。
アル「え~。初日から殉職確定コースじゃないですか。嫌ですよ。大体他の隊の方が給料も安全さも良さそうですし。」
グレイ「おいおいおい、給料のとこは否定できねぇが俺の他にオルドも居るんだぜ?戦闘経験と安全さはどこの隊にも負けねぇぜ?」
アルは少し悩む仕草をした。
アル「・・・まぁ、正直オルドさんとグレイさんが居るなら戦闘訓練も安全性も段違いに上がりそうですけど・・・。」
グレイ「だろ?まぁ無理にとは言わねぇけどよ、一応お前の分の枠は空けとくからいつでも来いよ。」
アル「前向きに検討しときます。じゃ、そろそろ訓練が始まるんで戻ります。グレイさんもサボらず仕事して下さいよ。」
グレイ「おう。」
会話を終えるとアルは新兵の集団に戻って行った。
オルド「唾つけんの早ぇよ。」
いつの間にかグレイの背後にオルドが立っていた。
グレイ「まぁ俺も隊長だからな。隊の生存率を上げる為に優秀な人材を早めにスカウトするのも隊長の務めってやつだ。」
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