第1章 灰狼と赤烏 1

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オルド「・・・三日坊主にならなきゃいいがな。」 グレイ「素直に褒めろよ。それよりその荷物何だ?」 グレイが指さしたのはオルドが肩から下げている鞄だ。 かなり詰め込まれているのか、鞄の側面が張っていた。 グレイ「随分と詰め込んでんな。何を持ってきたんだ?」 オルド「・・・さっきジジイに聞いてきたんだが、一層五階にトロールが出たらしい。」 トロール。豚のような体に分厚い筋肉で覆われた二足歩行の巨体を持った種族。知能は人の10歳程だが、その力は人外の中でも更に突出しており、また簡単な武器や戦術を使用し、その勢力は塔の中でも上位を総べる。 生息帯は不明であり、軍が実際に遭遇した回数は二回であり、その全てにおいて大隊を壊滅させられている。 グレイ「トロール・・・集団か?それともはぐれか?」 トロールなどのある程度の知能のある種族は集団で移動していることが多い。だがごく稀に集団からはぐれた、もしくは単独で生息している個体も居る。そのような個体をはぐれと呼ばれている。 オルド「不明だとよ。なんでも駐屯してた兵士はトロールが鹿食ってるとこ見てションベン流しながら帰ってきたって話だ。」 グレイ「見間違いって事は無いのか?」 オルド「緑の肌に座っていても二メートルは超える巨体。それに頭から生えてる短い角も見たらしい。」 グレイ「マジかよ、クソ面倒な仕事押し付けやがって。どうする?はぐれなら余裕だが、集団なら一日で終わんねぇぞ?」 オルド「ジジイに聞いたが協力は得られねぇってさ。何でも他の隊も手が離せないらしい。」 グレイ「・・・それでその荷物って訳か。仕方ねぇな。俺もちゃんとした装備整えるから、先に迷宮の入口に行っててくれよ。」 オルド「遅れんなよ。」 オルドはそう言うと迷宮に向かって歩み始めた。 グレイは基地一階の武器庫で装備を整える。 背負った巨大な剣を一度下ろし、別の大剣と取り換える。 大剣首狩り。かつて竜を狩り尽したとされる、竜狩りザクスウェルが使っていた大剣だ。その大剣はザクスウェルが最初に殺した一匹の竜が丸ごと使われており、並の人間には持ちあげる事され適わない。 グレイ「トロール相手に並の武器じゃダリィしなぁ。こっちでぱっぱと終わらせっかな。」
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