第1章 灰狼と赤烏 1

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グレイ「雨男はお前だろうが。常に蓑かさ着てるから雨なんて振るんだよ。」 オルド「蓑傘じゃねぇよ。それよりどうするよ。大雨の中トロールの相手してたら体が持たねぇぜ。」 グレイ「そこは大丈夫だ。確か一層二階の駐屯兵が一層三階で大洞窟を見つけたってのを聞いたんだ。かなりの広さがあるらしく、中は空洞になっているらしい。そこなら雨も防げるし、最悪崩落させて一網打尽って策も取れる。」 ???「グレイ・ジーク隊長ですか?」 グレイとオルドが作戦の詳細を話し合っていると、背後からグレイを呼ぶ声が聞こえた。 振り返ると探索用軍服に身を包んだ青年が居た。 背中には大きなリュックを背負っており、左腰には支給用軍剣、右腰には空砲が込められた回転式拳銃、左腕には魔術刻印がされた円盾を装備していた。 グレイ「あぁ、そうだが・・・新兵が何の用だ?」 レリック「お初にお目にかかります。第5師団から派遣されました。レリック・カラストフ上等兵です。今日はよろしくお願いします!!」 レリックはそう言い、懐から指令書を取り出しグレイに渡す。 グレイ「これは・・・ムサシノ中将から?」 オルド「何でムサシノ中将が出てくるんだ?この作戦は爺さんのお使いみてぇなもんじゃなかったのか?」 グレイ「知るかよ。・・・だがもしかしたら、何か厄介な事があったのかぁ?」 オルド「はぁ、だがこんなとこでグダグダ言ってても仕方ねぇだろ。こうなったら真面目に仕事片づけて爺さんとこに行こうぜ。」 グレイ「それもそうだな。あ~、レリック?お前第五師団って事は補助が主体って事でいいのか?」 レリックは頷く。 レリック「はい。回復、補助魔術は一通り習得しております。」 グレイ「そうか、迷宮には入ったことはあるか?」 レリック「ありません!」 グレイ「そうか。まぁ迷宮のイロハは道中で説明してやるよ。準備は出来てるか?」 レリック「問題ありません!」 グレイ「そうか、なら行くぞ。おい、指令書だ。開けてくれ。」 グレイは迷宮入口に立っている門番に指令書を見せた。門番は指令書を確認すると、迷宮への門を開いた。 巨大な鉄の門は地面に転がっている小石を磨り潰し、巨大な鉄の輪のような丁番は大きな軋みを上げている。 やがて人一人が通れるほど開くと、扉の動きは止まった。
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