第1章 灰狼と赤烏 1

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門番「どうぞお気を付けて。」 門番は敬礼でグレイ達を見送る。 グレイ「おう!!」 グレイ達は迷宮へと足を踏み入れた。 ~『迷宮』第一層一階北側~ 門の内側は闇が広がっていた。入口から差し込む光と、足音の反響具合から長い洞窟が続いていることだけが分かる。 グレイ「暫くは暗闇だ。ま、五分も歩けばすぐ明るい場所に出る。魔法は使わなくていいぞ。勿体からな。」 レリック「はい。」 レリックはバックパックからランタンを取り出し、明りをつける。 グレイの言葉通り、五分程歩くと光が見え始めた。始めは星の光のような弱弱しい光だったが、近づくにつれ光は大きくなり、やがてその光は太陽の様に力強く光と暖かさを放っていた。 レリック「アレは?何で迷宮の中に太陽があるんですか?」 レリックは暗闇に慣れた目を薄め、太陽らしきものを見つめる。 グレイ「何だ知らないのか?どういう原理か知らないが、迷宮の中は外の環境を模した場所が多いんだ。しかも階層ごとに環境がコロコロ変わる。一層なら高温多湿の密林、二層なら絶対零度の豪雪地帯、三層なら一面溶岩の火山地帯って具合でな。おかげで探索するのも一苦労って話だ。」 レリック「うへぇ、そんなところに行くんじゃ兵士も不足しますよね。俺なんか三ヶ月前に入隊したのに、もう上等兵ですよ?ぶっちゃけこの任務に行けって言われて遺書書いてきましたよ。」 グレイ「三ヶ月?この三ヶ月は何してたんだ?」 レリック「三か月間は訓練で、それが終わったらサイクローゼに潜入任務だったんですけど・・・なんか任務が突然中止になったらしくて。それで昨日まで暇だったんですけど、突然今回の任務に同行、補佐せよって指令が来たんですよ。」 サイクローゼとは迷宮の西側に位置する国の名前である。国の特徴としては魔術が盛んで移民の多い国である。また、移民が多い国ではあるが、一定の階層から上の階級はサイクローゼ一族が支配しており、サイクローゼ一族のみに伝わる魔術があるとか無いとか・・・。 レリックの話を聞いてグレイとオルドは顔を見合わせる。 オルド「ちなみにその潜入任務の他の隊員はどうした?」 レリック「他の奴らなら三日前に迷宮探索に出ましたよ。今も生きてるかは分かりませんけど・・・。」
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