第1章

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   彼女がいるから伴侶なんか探す気にならないなんて、言えやしない。  龍は伴侶を変えたりしない。生涯にただ、一度だけ。一度だけ伴侶を得て、何百年という時を生きる。仲睦まじい二人を見ていれば分かる。それを見て、こっちだって幸福な気持ちになりはするんだけど。彼女が欲しくて欲しくてたまらないわけじゃないから、きっとこれは、憧れ、なんだろうけど。  今はただ、そっと、見ていたくて。  久しぶりに会った翡翠に同じことを問われたから、俺はまた「探してる」と答えた。
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