第1章

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千里眼。 たとえ対象になる物がどれだけ離れていようと間に何があろうとそれを捜し見つけ出す力。 距離や空間といった概念すら超越し万物を視通すその力にかかれば、たとえ地球の裏側に隠れようとも決して逃れられない絶対透視能力。分厚いシェルターに隠そうが厳重なセキュリティで守ろうが、ただ見通すだけの力の前では一切意味をなさない。 一つ使い方を誤れば国一つ傾きかねない絶大な効果を発揮する力、千里眼。種族の名を冠するその能力を行使し、牛鬼と呼ばれる妖怪の居場所を探す千里。 しばらくし、灰色の砂嵐に埋め尽くされていたタブレットの画面にある映像が写される。 まるで航空写真の様な遥か上空からの視点。映し出されたのはとある浜辺に建つ大き目の小屋の様な建物。映像が真上からの視点のせいで分かりづらいが、液晶いっぱいに映し出されたその建物に見覚えがあることに一同が気づく。 「あれ、これってもしかして――――――」 そこから先は凄まじい破砕音に呑み込まれ誰の耳にも届かなかった。
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