第1章

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『私は知らんがお前のとこの秘書や事務員、居候はその辺よくわかってるんじゃないか』 「あーもういいですよ何でも。それで? そっちから電話してくる時は説教か仕事の二択だと思ってるんですけどこの前の廃工場とその周囲をぶっ壊した件はもう済んだし多分仕事の方だと思うんすけど。というか仕事がいいです、仕事下さい仕事」 そもそも先日の夏祭りに屋台を出したのも事務所の知名度をアップさせて仕事を増やそうとしたのが発端である。その計画がなんやかんや(主に銀月のせい)で失敗した今、探偵事務所としては以前と変わらず開店休業状態絶賛続行中というわけだ。 『断波海水浴場を知っているか?』 「実際行ったことは無いですけどね。この辺りから電車で二時間ぐらいの所で、毎年すごい人が集まるらしいって程度には」 『充分だ。最近その断波海水浴場で水難事故が多発しているようでな』 海水浴シーズン真っ盛りのこの時期である、多少の事故はどこの海水浴場でも同じようにあるだろう。 「それがただの水難事故じゃないと?」 ただの事故であるならわざわざこちらに連絡してくる必要も無い。警察から直接、おたくの海水浴場で事故が多いみたいなので注意を促して下さいね、とでも言っておけば済む話だ。 『それが事故に遭った…………簡単に言えば溺れた者たちに妙な共通点があってな』 「共通点?」
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