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驚き過ぎて言葉が出てこない。
……どうしてどっちも知っているんだ?
「ごめん。聞くつもりも、見るつもりもなかったの。でも偶然その場に居合わせちゃって……」
「いや、うん。そうだったんだ……」
そう答えたが、途端に恥ずかしくなってきた。
俺が若菜さんのことを好きになった理由も。
若菜さんのことを庇った所も見られてたなんて……!
恥ずかしさから顔が熱くなっていくのが分かる。
告白をしていないのに、告白をしてしまっていたかのような現実に、今すぐにでも逃げ出してしまいたい。
「だからあんなは、私は……大石君のことを――」
「待って!」
大声で若菜さんの言葉を遮った。
若菜さんが想ってくれていた事実に嬉しくて、泣き出しそうな、はにかんでしまいそうな、えも言われぬ感情が沸き起こる。
……二度目は言わせちゃいけない。
俺から言わなきゃ!
そう思い、大きく息を吸い込んだ。
「あんなさん!いや、宮沢さん!」
大きな声で若菜さんの名を呼ぶ。
彼女は少し驚きながらはいと、答えた。
「俺はあんなさんと交換日記をやっていく中で、あんなさんに惹かれていきました。やり取りが楽しくて、俺の毎日の楽しみになっていた。だからあんなさんが気になる奴の為にお笑いのことを訊いてきた時、正直嫌だった。思い返せば、そいつに嫉妬してた」
真っ直ぐ、真剣に自分の想いを伝えていく。
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