桜の木の下で

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もう一度ノートを広げ、最初からやり取りを見直す。 そうそうあんなさん、俺のこと幽霊だとか思っていたんだよな。 思い返して、ひとりで笑ってしまう。 女の子っぽい感じだから、お菓子作りとか勧めたんだけど、甘い物が苦手で。それは今でも意外だ。 あんなさんが書いてくれる顔文字。猫口のものが多くて、きっと猫好きなんだと思う。 数ページ捲って、ふと目を止める。 この辺りからあんなさんは、お笑いのことをよく訊いてきた。 嬉しくて、書く文章が一段と長くなっている。 バカみたいに熱く語ってたな、俺。 ふっと笑って、すぐに表情が元に戻った。 ――あんなさん。 熱い気持ちが込み上げてきて、ぐっと拳を握り締める。 俺、俺……!
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