桜の木の下で

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――文字が。 ひとりでに書かれていくのだ。 それは幽霊や透明な人間が、目の前で書き込んでいるんじゃないか? と思える光景。 ひとりでに書かれていく文字に驚くが、書かれる文章に釘付けとなっていた。 『本当だよ(笑)  今、公園の前に着いたから。もうすぐで着きます』 ドクン! と鼓動が波打つ。 すぐ近くにあんなさんがいると思えば、いてもたってもいられなくなった。 ベンチから立ち上がり迎えに行こうかと思ったが、あんなさんがどんな人か分からないので止めることにした。 ……すれ違ったりしても、ややこしくなるだけだもんな。 大人しく待っていよう。 そう思っても落ち着いてもいられず、とりあえず立ったまま、あんなさんを待つ。
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