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あんなさんがやって来るものの数分が。
とてつもなく長く感じた。
俺の心臓は察しの通り、壊れたようにバクバクしている。
もう動くことも出来なくて、ただこの場所に辿り着く階段の先を、じっと見つめていた。
やがて人の気配がする。
ここに誰かがやって来る足音。
他の物を見る余裕もなかった。
やって来るあんなさんしか、視界に入らない。
階段を上って来たあんなさんの顔が視界に入る。
瞬間あっとなるが、すぐに俺の表情が変わった。
――目の前にいたのは。
――若菜さんだった。
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