桜の木の下で

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……交換日記をしていた相手。 つまり、あんなさんは……。 ――若菜さん……? しばらくふたりでお互いを見合ったまま、動けないでいた。 しかし先に気持ちを落ち着かせたのは、若菜さんだった。 俺を見ながらぺこりと頭を下げる。 それに釣られて、同じように頭を下げた。 ゆっくりと、若菜さんはこちらに歩いてくる。 ……そう言えば。よく考えればついさっき、若菜さんの告白を断ったんだった……。 若菜さんも俺なんかに会いたくなかっただろうな……。 何となく気まずくなって、目を伏せた。 「……あの」 近付いて来た若菜さんは、恐る恐る口を開いた。
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