桜の木の下で

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「俺は1年生からずっと、宮沢さんのことが好きだった。だけど気付けばあんなさんのことが好きになっていて。……だから今日、宮沢さんの告白を断った。その……ごめん」 「ううん」 少し緊張気味の若菜さんが首を振る。 「俺が今日、あんなさんをここに呼んだ理由は……。あんなさんに、伝えたいことがあったから」 ――そう。あんなさんに伝えたかったこと。 俺の気持ちだ。 いや、だけど……。 まさかあんなさんが若菜さんだったなんてな。 本当に思いもしなかった。 ――やっぱり俺の好きな人は、ひとりしかいない。 心の中でひとり笑って、穏やかな表情で口を開いた。 「若菜さん。好きです」 ――自分の気持ちを、若菜さんに伝えられる日がくるとは思っていなかった。 言わないまま、高校を卒業するんだろうなって思っていた。 万が一若菜さんに伝える日がきたとしても、緊張しまくって、テンパってるんだろうなって。 ようやくその日がやってきた訳だけど。不思議と、自分でも驚く程落ち着いていた。
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