一冊のノート

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いいんだよ。 宮沢さんは俺からすれば高嶺の花の花ぐらいに、手が届かない人だ。 こんなヘタレヤローと付き合ってくれるはずもない。 だけど遠くからでも宮沢さんを見ることが出来れば、それでいい。 笑っている宮沢さんを見ていれば、癒されるから。 そして心の中だけでは『若菜さん』と下の名前で呼んでいる。 実際に呼ぶことなんて出来ない。 ……何て言うヘタレっぷり! 自分で笑えるよ……。 「今日も見事なストーカーっぷりだな」 声が掛かると同時に、肩に手が回ってきた。肩にズシッと重みが掛かる。 「……健太郎(けんたろう)、重い」 ひとりの男が俺の肩に体重を掛けてきやがる。 「重くねーだろ」 ひひっと不敵な笑みをしているこいつは、中学からの友達だ。 たまたま同じ高校に通うことになり、1年2年と同じクラスになっていた。
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