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「最近見なくなったけど、もうひとり女の子が居てね。3人が揃うとウタさんも自由がきくらしいんだけど、ふたりだとどうもバランスがうまく取れないんだってさ。若者は難しい」
ショウさんの見守るような優しい瞳を追うと、ウタさんと入れ替わるように、金髪の少年が席を立ち、手洗い場の方へと消えてく。
かちゃ、ぱたん
小さな開閉音も、静かな部屋の中では丁寧に浸透してする。
まるで、現実と空想を隔てるような小さな音。
SFコミックではドアが異世界への入口になったりもするけれど、それらもこんな音を立てるのだろうか。
その軽い音にかぶさった、カラン、と氷が落ちる音。
ショウさんの手元にあったグラスが空になっている。
飲み物の追加を尋ねると、彼は緩やかに首を横に振って否定。
「シャウトは束の間の休憩所だから。あんまり長居をすることはお勧めしないよ」
優しく、それでいて切ない笑みが浮かぶ。
「ここはとにかく居心地がいい。けれど、あくまで僕たちは赤の他人だし。どっぷり浸かりこんでしまうと、現実に戻れなくなってしまう」
”彼ら”のように。
「現実が辛くなった時にでも来ると良い」
此処はそういう場所らしい。
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