ご新規様

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【SHOUT】 決して少なくはない人数が、この店の魅力に惑わされた。 その者達は架空を好み、憑りつかれたように、音速で現実から遠ざかっていく。 正体を隠し、酒を飲んで名前も知らない赤の他人と友達になって。 そして音もなく叫ぶのだ。 日常の不満を 現実の嘆きを 胸の中に秘められたその声を 「いらっしゃい」 ほら、今日もまた、誰かがその扉を開ける。 はじめまして、ご新規さん。 此処であったのも何かの縁。 一風変わった喫茶店と、短くて長い長い話を聞いて行かないかい? そしてよかったら君のことも話して。 大丈夫。僕らは幾夜でも付き合うから。 明日も明後日もその次も。 あぁでも、XXXXには気を付けて。 機嫌を損ねると、《お化け》にされてしまうよ。
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