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ヨウ、と書かれたネームプレート。彼女の名前だろう。
どうやらスタッフらしく、にこやかによってきた彼女が緩く巻かれた髪の毛を揺らして腰を折る。
「いらっしゃいませ」
「ヨウちゃん、3卓空いてる?」
「ショウさんの所だよね。さっきリュウが移動したから空いてるよ」
じゃあ、そこに。
押し出されるがままに「ヨウちゃん」の背中を追う。名前を尋ねられて思わずフルネームで答えると、彼女は鈴の音のような声で笑った。
「ここで名前を聞かれたら、ハンドルだけ答えればいいんだよ」
そう言って、紐で出来た暖簾をかき分け奥に進む。
続いて入ると、そこには自宅と何ら変わりない光景が広がっている――――人が居る、ということを除けば一般家庭のリビングと同じ造り、空間だろう。
テーブルがあり、椅子があり、カウンターキッチンがある。
電源は入っていないがテレビもあって、奥には背の低いテーブルとソファ。
空いた襖からは畳がのぞいている。
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