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少しだけ高級感のあるレストランに初めて一人で来た時のような、新入社員として働き始めたばかりの会社のような、アルバイトの初出勤のような、少し所在無いような緊張感。
固くなった姿をちらりと見ては、ショウさんもウタさんもくすくすと笑う。
「一見さんがこの場に馴染めるかどうかは、オーナーである君の腕にかかっていると思うんだけど…今日も”彼ら”のお守り?」
「リュウとハヤトが揃うとなかなか離れられないよ」
だからショウさん、頼りにしてる。とにっこりほほ笑むが、当の本人は「ウソ言え」と唾を吐いて噴き出した。
そして『覚えときな?』と目で指したのは、カウンターで談笑する若い男2人組。
「左の金髪がリュウ、右のダークグレーがハヤト。あんなナリして色んな情報もってるし、此処でも一番のムードメーカーだ」
「ふたりとも長いからね。話し相手に困ったら声をかけてみて―――僕やヨウちゃんが話せればいいけど、他の人と話し込んじゃってることもあるし」
「そういや最近、ヒロを見ないな」
「あぁ、ヒロちゃんは―――」
うーたー
腰をひねって振り返ったのは、綺麗な灰色の頭をした少年。
心臓の辺りで光る大きなクロスが印象的な、不思議な雰囲気のある高校生から大学生くらいの若者だ。
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