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その言葉を聞いた重臣四人は、手綱を引いて信定の下に集まりました。
「信定様! 一気に足利を滅ぼそうぞ!!」
「馬鹿! そんな事をしてみろ。
今度は我らが諸国の大名から狙われるわ!」
「ここは一先(ひとま)ず国許に戻り、チカラを養うことが先決かと存ずる!」
「近隣の国と好誼(こうぎ)を深める事もわすれてはなりませぬぞ!」
信定は頷きながら、各々の重臣の意見を伺っておりました。
「お屋形様ーーー!」
そこへ、壱番槍の権助が駆け込んで参じました。
「ん、壱番槍の権助どうしたがや?」
権助は、屈めると騎乗の信定を仰ぎ申しました。
「間者(スパイ)を取り抑えてござりまする!」
「捕らえたとな、でかしたがや、権助!
ここへ引っ立てて来るぎゃ」
騎乗の信定らが取り囲む中へ、後ろ手を縛られた間者は放り込まれました。
「間者、面が良く見えんがや、面を挙げるぎゃ」
口を強くへの字に結んだ間者は、顔を挙げました。
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