織田 信定……

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´  信定の二千の家臣らは、鴨川の五条大橋の河岸を中心に陣営を構えました。 「交替で見張りを立てよ! 篝火(かがりび)を絶やすな!」  家臣らは持参した米や味噌やらで、鴨川の水を汲み調理を始め、 「お屋形様、お召し上がり下され」 酒も振る舞われたのでした。  信定は、重臣らと酒肴を交えました。 「信定様、諸々の大名らは国許に戻り、地固めに昂じておりましょうぞ」 「これからは、戦の在り方も尚も尚も一考せねばなりますまい」 「城も、山城へと移すべきでござろう」 「近隣の国と、如何様に接するのが肝要かと心得る」  いつものように、信定は頷きながら聞いていたのでしたが、 「誰か! 壱番槍の権助をここへ連れて来いや!」 と叫び、程なくして権助はやって来ました。 「お屋形様、お呼びでござりましょうか?」  権助は片膝をついて、しっかりと信定を見てそう言いました。 「うん、酒宴のところを呼び立てて悪かったぎゃ。 おみゃぁ(お前)もこれからは此処で飲み交わせや」 「はっ! 有り難きお言葉。 では、かような者でもよろしいのかと……ご重臣ご一同」  重臣らは顔を見合わせると、権助に盃を差し向けました。  権助はそれを丁重に受取り、信定より注がれた酒を飲み干しました。 「うん、権助、おみゃぁの意見聞きてえがよ」 「はっ、何なりと」 「うん、これからこのやまとの国は、長い戦になるぎゃ。 そこでじゃ、ここは何を如何したら……ち言う論じ合いの場ぎゃ」  信定は権助に注ぎました。 「はっ!」 「遠慮はいらん、何でも申すがええ」 「はっ、では…… 先ほどの間者から聞いた話しではこざりまするが」  みんなの盃を持つ手が止まりました。 ´
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