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「重臣の方々様が述べられるように強い兵力も大事でござりましょうが、
兵糧も劣らぬほどに大事かと心得ます」
それを耳にした重臣達は、我らの話しを喰われて折られたような気になりました。
「間者がかように申したのか!」
ひとりの重臣が指して言いました。
「これは、私めの意見にてございます。
これから議を論じる折りには、是非とも兵糧のことを念頭に於てお考え下さりますよう」
ひとりの重臣が床几より立ち上がり、
「我ら重臣がその様な事を考えておらぬと申すか!
愚弄(ぐろう)致す気か!」
と脇差しに手を掛け、それをひとりの重臣が宥(なだ)めに入りました。
「私めは、お屋形様の仰せの通り、
兵糧を扱う立場の者として、遠慮なく意見を申したまでのこと!」
「もうよい!
この場で交えることはならんだで!
重臣の立場は、双方の意見を汲み合うが肝心だがや!」
一同は掛け直し、己の無礼に深く礼を致すのでした。
「権助、兵糧のことは承知したがや。
で、その間者が何を言ったがや?」
「はっ、ここより三十里先に大きな集落が在ると……」
「ん、その集落がいかがした……
化け物でも出るがやかぁ ワッハハハ」
「出ます!
片眼の潰れた化け物が」
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