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権助は、信定や重臣達をを見回して言うのでした。
「習うのです。
作物の作り方を習うのです」
「習うだとぉ馬鹿げたことを抜かすな!
百姓ごときには作らせてなんぼのモンじゃ!」
先ほどの重臣がそう喚きました。
権助はその重臣に向かって言うのでした。
「ならば、如何なさるお積もりか?」
「我らは武士だ、攻めて配下に致すまでよ!」
「先ほど申し上げた通り、あの集落は落とせませぬ!
彼ら百姓には、指一本触れることは出来ませぬ!」
「貴様ーーーっ!」
その重臣は又立ち上がりました。
「重三(しげざ)、腰を降ろすだぎゃ!
権助、おみゃぁその百姓に会ったがゃ?」
「はっ、そう聞いたまでのことで……」
信定は床几より立ち上がり、議論の判断を下しました。
「ええか、よく聞くぎゃ!
視察を終えた我ら二千の兵は、五百を残し国許に還るぎゃ!
残った者五百と、儂と重三と権助は、笹川と同盟を結ぶ為に臨むでよ!
その後、その百姓らに会って従事するよう話しをするだでよ!
もし、従わなかった時にゃ、何処かの配下にならぬよう其奴を亡き者とするがや!
よいな、権助!」
「……はっ」
「権助、その化け物の名は何と言うがや?」
「はっ、アニーとか……聞き及びますが」
「アニー、兄、阿仁……歳は?」
「三十五とか……それに女房も居りますれば子も居りまする」
「因みに女房の名は何と言うがや?」
「ナズナ……とか」
「ナズナ……美しいか? 会ったがや?」
「話しに……」
その時、凄まじい轟音と共に天が割れたのでした。
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