第1章 約束のリボン

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最後は意地と根性でやり切ってなんとか合格したとか言っていた気がする。 あいつの受験期間には俺も手伝わされた。 やれここがわからないだの、やれあれがどうなるのだの、様々な質問や疑問を投げかけてきて、終いには問題文にケチを付け始めるし… 試験の日、受験を終えて帰ってきたときの一言目が、 「兄さん、リスニング感で書いちゃったんだけど、大丈夫かな?」 おいおい、リスニングをどうやったら感で解けるんだってツッコミを入れたが、解答速報で見事全問正解だったと聞いたときは、恐れ入ったよ… 今でも思う、よく受かったなと… まあ、受かったことに変わりはない。 それでも、なんと言ったらいいのだろう。 芽衣が努力を怠っていたわけではないことは俺にもわかるが、胸中にモヤモヤが残るのはなぜだろう…
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