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第1章
「ねぇおばあちゃん。月食族ってなぁに?」
青い目をもち、綺麗な栗色の天然パーマの少女は祖母に聞いた。
少女は寝る前、ベッドの中で祖母と話すのが習慣だった。
「あら、どこで知ったのかしら。
月食族はね、明かりや光を食事として暮らす人達のことよ」
暖かい部屋は祖母の柔らかい表情を引き立てる。
「明かりや光を?!すごい!!
でももう居なくなっちゃうんでしょ?」
少女は寂しそうな顔で祖母の顔を覗き込む。
「そうねぇ。月食狩りっていう残酷なことが行われているから…いずれは…。ほらもう寝なさい。明日はお引越しの日よ?」
「うん、そうだねおやすみおばあちゃん」
「はい、おやすみなさい。」
部屋の明かりが消された時、少女が言った言葉は祖母には聞こえてなかった。
「エルも居なくなっちゃうのかな…。」
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