3章:不透明な心

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江尻の質問は、ある意味で俺にとってもプラスになる。 何を知りたいのかを知ることができるからだ。 「じゃあ、早速質問させて貰うわね?」 そう言うと、江尻は一旦立ち上がり、薄型のノートパソコンを手にしてソファに再度座り直す。 微かな起動音がして、キーボードをいくつか打って俺に視線をよこした。 目があった瞬間、その鋭い目線に少しだけドキリとした。 「山根さんが飛び降り自殺をしたあの日、二ノ宮君からは何か接触はあった?」 「えっ……」 言葉に詰まる。 まさか、そんな質問をしてくるとは思わなかったからだ。
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