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寝る前に一度、遥子に電話しようか。
それともメールの方がいいか。
単純に「無事に遥佳(はるか)も寝たよ」とでもメールで書き送るのが一番無難な気がするが、それだとすぐに返事が来なくても、後から何とでも言い訳が出来る状況を与えてやっているように思える。
やはり、抜き打ちで電話して、どこに誰といるのかそれとなく窺うのが確実だろう。
しかし、いきなり電話して、俺は一体、遥子とどんな話をするのだ。
考えあぐねている内に、不慣れながらも二人分の食器を洗い終えてしまった。
拭いて棚に戻すの面倒だから、明日にしよう。
どうせ休みだから、家にいる俺たち二人は昼まで寝ている。
次は、風呂にお湯を張って遥佳を入れないと。
頭ではそう思いつつ、何とはなしにくたびれてソファに腰を下ろす。
「ババ抜きしよう!」
娘がプラスチックのケースを掲げて走ってきた。
「分かったよ」
彼は強いて笑顔を作ると娘の頭を撫でる。
いつの間にか随分頭の位置が高くなって、撫でた時の感触がふっさりしてきた。
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