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山田の家が見えてきた。
しかし山田は泣きながら、
「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」
と、ずっと呟いている。
山田も自分家が見えたのか、元々お互い全力だったはずだが、さらに速くなった。
そして僕もそれに合わせて急ぐが、鈴の音もそれに合わせて速くなっていた。
僕も恐怖で涙がでてきた。
山田が家につくと一瞬で入っていった。
しかし僕はここからまだ100メートル位家まである。
ひとりになった寂しさと、どんどん膨らむ恐怖で、本当にパニック状態だった。
疲れなんて感じず、家まで走った。
残り50メートル。
30メートル
10。
0。
家についた。
僕は一瞬でドアに手をかける。
しかし鍵が掛かっていた。
僕は鍵を取り出して、震える手で鍵を回そうとする。
怖くて焦っていた。
そしてついにドアが開いた。
一瞬で中に入り、閉まるドアの向こう側を見た。
しかしそこにはなにもなかった。
安心感で座り込んだ。
その瞬間………。
チャリン
音がした。
その音にビクンっと反応してしまった。
しかしその瞬間また…。
チャリン
と、音がなった。
僕は意識を、失った。
その日の夜目がさめると、リビングのソファーで寝かされていた。
父が運んでくれたようだ。
「お前、玄関は寝るとこじゃない ぞー」
「うん。」
フラフラしながら立とうとすると、カバンを踏みつけてしまった。
カバンをよくみると御守りがついてる。
そして、よくみると、御守りに鈴がついていた。
僕は恥ずかしすぎて嘲笑った。
自分を嘲笑ってしまった。
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