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星降りの大地に君臨する千年に一度の奇跡の邂逅を前に、時の預言者は大陸全土へ向けて神託を発令した。
星痣を宿して産まれ落ちる女の赤子は、大地を豊穣で満たし、永劫の幸運を人に約束するだろう。
世界を闇に覆いし冥星の使徒として産まれ落ちる男の赤子は、大地を枯渇させ、地獄の苦しみを人々に与えるだろう。
二つの星が重なる千年に一度とされる運命は、産声を上げた瞬間から、二人の赤子の運命を大きく変えるものだった。
およそ千年後、人々は彗星の乙女を探しだして保護し、冥星の守護者を草の根分けてでも見つけ出し、滅する密約を大陸全土に浸透させていた。
運命の扉は、二人をどのように出会わせ、奔流に押し流していくのだろう。
****
「さあ、彗星の乙女よ」
白髪の老魔術師ダーキンは皺だらけの手に不似合いな仰々しい短剣を差し出して促してくる。
たった数刻前に、彗星の乙女認定をされたばかりの少女へ向けて。
黒い刃の短剣には猛毒が塗られている。
浅くも創傷となれば、無事では済まない程の。
彗星の乙女と揶揄された少女は、ナイフに見向きもしなかった。
彼女の興味を引いたものは、大の男が四人がかりでようやく地べたに押さえ込んでいる者の姿。
少女は腕組みしながら、じっと真上から見下ろし、言った。
「あなた……冥星の守護者なの?」
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