非接触

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一見、鞄に入れている音楽プレーヤーから音楽を聞いている様なスタイルになっているので、傍からは特に変わった様子は見当たらない。 繁華街に一度出て、帰りの混んでいる電車に乗り込んだ。 「ピッ、ピッ、ピッ・・・」 驚くほど確認音が、ヘッドホンから聞こえる。 「完璧だ!」 電車を降り部屋に戻り、結果を確認する健一。 鞄のマザーボードから自分のパソコンに繋ぎ結果発表。 72人から、お金を抜き取った。 「まあまあだな、明日のラッシュでどうなるか・・・」 翌日、会社に向かう朝のラッシュアワー。 こんなに、通勤ラッシュが楽しく思うのが不思議ではあったが、改札口、ホーム、電車の中で確認音がヘッドホンから聞こえる。 仕事が終わり、急いで確認作業。 「120人か?」 思ったほど、収益が上がらなかった。 電車の中で身動きが出来ないので、周辺の人が入れ替わらないと収益が上がらないと考えた。 翌日、満員電車の中で、出来るだけ積極的に動き回った。 昨日よりも確認音の数が多く感じた。 夜、確認作業。 300を超えた。 「良し、明日はもっと稼ぐぞ」 翌朝、一時間も早く駅に向かった。 ホームで歩きまわり、近づく人からお金を吸い取る。 ピッ、ピッ、ピッ・・・。 電車に乗ると積極的に移動した。 夜の確認作業。 「やったー。1000超えた!」 健一は、コツを身に付けたらしい。 翌日からも、積極的に動き回った。 3ヶ月ほど経過し、金額もかなりの額に。 「明日で、億に届くかも」 笑いが止まらなかった。 いつも通り、ホームで一仕事をして電車に乗り込む。 人混みに入って行く、移動を開始。 昨夜の結果を、ふと思い出し自然と顔が緩んだ。 その時、 「痴漢!」 前の女性が、健一の手を取り・・・。 駅員が健一を連れて行く。 「俺は、触っていない!・・・」 (了)
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