小さな欠片

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バカだと思ってるんだこいつは。 「それより聞いてくれ。大変なんだ。」 「…急に真剣な顔して何?まさか告白!?」 「俺の…消しゴムが昨日無くなったんだ…」 「……」 また殴った。今日でもう何回目?まだ学校にも着いてないよ? 「それのどこが大変なのよ!」 「お前、頭はいいのにバカだよな。」 「なんでそうなるのよ!」 「何かがなくなったって俺以外に言ってる奴いなかったか?」 「…そういえば。」 「確かに消しゴムが無くなったなんて普通はどうでもいいことだろうけど、あまりに多すぎる気がするんだよ。」 俺が聞いただけでもこの1か月くらいで20人くらいが何か失くしたと言っていた。いくらなんでも普通に生活していてそれはあり得ないと思う。 「それに気になるのは、それが始まったのがあいつが戻ってきた時期と同じなんだよ。」 「あいつ?」 「黒崎実。今年に入ってから今月まで学校に来てなかっただろ?もうすぐ夏休みだってのに。なんで学校に来てなかったのか知ってる人もいないし。」 「その黒崎君って人が色んな人の物を盗んでるってこと?」
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