第1話

由里

彼の彼女は、あたし。アタシ。私。

あと半年で、交際歴9年を迎える。
それが、アタシ。

アタシは、解離性同一性障害（多重人格）。
人格人数は軽く200人を超える。
ほとんど女の子。
男の子の人格もいるが、滅多に出てこない。

アタシの名前は「由里」
この身体の副主人格。

戸籍上の体的には、バツイチ。子無し。
妊娠自体、したことがないので、本当に子無しなのだ。

家族は、フェレットの女の子。「シュガー」
我が家の２代目フェレット。
パスバレーファームのシナモンカラー。
つい最近、５歳を迎えて今まで以上に寝る時間が増えてきた。

ちなみに、この身体の育ってきた家庭環境はボロボロ。
まぁ、虐待受けたりの経験というかトラウマ的なものがあって、アタシたちがいるんだけどね。
もし穏やかでシアワセな家庭環境で育っていたら、アタシは生まれてこなかっただろう。

主人格の彼女が寝ている間に、副主人格がいきなり自己紹介始めるってなんか変な感じ。

あ。
そうそう、最初に話しておくね。

この身体の中にいる人格たちは、みんな仲が良いよ。
ほんと、珍しいって周りに言われるけれど、破壊系人格の子とかいないしね。
生まれた理由的に最初は危険かな？って思った子はいたけれど、たくさん話聞いて、お互い理解しあえるところまで話し合って解決して、まるーくなったよ。

アタシも、破壊系人格ではないけれど、主人格の子との雰囲気、目つき、仕草、行動、好み、声、、、全部変わるから多重人格って演技でしょ？とか、認めてない人たちも、向こうから「もしかして、多重人格なのかな・・・？」って思われるくらい、変貌っぷりが半端ないらしい。

彼氏くんは、これまたイメージと違うと言われるが
２個下のイケメンなのだ。
芸能人で言うと、がんちゃん似。
がんちゃん分からない人は、とりあえずググってみよう。

髪の毛も瞳の色も、生まれつき茶色。
小さい頃から、学校には必ず赤毛登録の書類提出しなきゃいけなかったんだって。
だからカラーとかして色落ち、色抜けしてきても、グラデーションにしか見えないし、むしろ前髪なんて金髪になる。

だから街中歩いていると、ハーフと間違えられて
やたらと外人さんの迷子に捕まって、道案内することになる。
お肌つるすべ。めっちゃ美白。
高身長。
料理担当。
シュガーの遊び相手担当。
凄まじい優しさ。