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「家を出て行く為に決まってるでしょ!
一日でも早く家を出て、一人で生活していきたいの」
愛莉はそう言って、泣き崩れた。
「愛莉……」
「家にいることが、どれだけ苦痛かアンタにわかる?
わかる訳ないよね。
毎日、毎日、怒鳴り声が響いて。アパートのどこにいても聞こえてくるの。
もう、無理。あたしには堪えられない。
それだったら、お金をもらって知らない男の人に抱かれている方がまだマシなの」
愛莉の悲痛な叫びが胸の奥に突き刺さる。
もう何も、愛莉に言葉を掛けることが出来なかった。
ただ泣きじゃくる愛莉を見詰めて、無力な自分を呪いたくなった。
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