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愛莉には知られたくなかった。
ずっと家族でいたかった。
わたしが施設から星野の両親に引き取られたのは、わたしが三歳の時だった。
その頃の記憶はあまりないけれど、両親のことを優しそうな人達だと思ったことだけは鮮明に覚えている。
わたしが引き取られた翌年、母は愛莉を妊娠した。
実の娘が生まれても、両親は変わらない愛情でわたしを育ててくれた。
幸せな日々だった。
想い出の中のわたしは、笑顔で愛莉を抱しめているのに……。
あの頃には戻れない。
粉々に壊れてしまったのだ。
わたしを愛してくれる人は、もう誰もいない。
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