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どうしてなのだろう。
どうして、陸は必死になってわたしを助けようとするの?
……ああ、そうか。
ここは陸のマンション。
わたしがここで死ねば、陸に迷惑がかかるからだ。
「友香、しっかりしろ」
陸がわたしを抱いたまま部屋から出て行く。
じわりじわりとわたしの血が陸のスーツを赤く染めていく。
陸は、わたしを車の後部座席に横たえると、そっとわたしの頬を撫でた。
「……頼む、死なないでくれ」
懇願にも似た陸の言葉を聞きながら、わたしの意識は曖昧になっていった。
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