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身体が鉛のように重かった。
誰かがわたしの手を握っている。
冷たいその手の主を確認することも出来ずに、わたしは眠り続ける。
いや、目を醒ますのが怖かったのだ。
このままで。
ずっと夢の中で生きていけたら、どんなに幸せだろうか。
「友香」
わたしの名前を呼ばないで。
お願いだから。
重たい瞼を持ち上げると、わたしはベッドに横たわっていた。
真っ白なシンプルな部屋。
ここが病室だということは、直ぐにわかった。
無機質な空間。
固くて狭いベッド。
消毒液の臭い。
そして、手首に巻かれた包帯。
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