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ああ、そうっだった。
わたし、手首を切ったんだ……。
それは、衝動的だった。
本当に死ぬつもりだったのか?と訊かれると自分でもよくわからない。
ただ、何も考えたくなかった。
この崩壊したわたしの世界から逃げ出したかったのだ。
それすらも赦されないなんて。
こんな惨めな自分が可笑しくて、笑いが込み上げてくる。
「クククッ、ククッ、アハハ、ハハハ」
その乾いた笑いは、やがて嗚咽へと変わっていく。
ドアをノックされ、陸が病室に入ってくるまで、わたしは一人泣き崩れていた。
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