第4話

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     「友香が生きていてよかった」 「……え?」 その言葉の意味をどう捉えたらいいのだろう。 戸惑ってしまうのは、陸の表情が慈愛に満ちたものだったからだ。 もしかすると、これも罠なのかもしれない。 わたしを騙して油断させて。 でも。 わたしの何を奪うというのだろう。 わたしには、もう何も残っていない。 あるとしたら、この命ぐらいだ。 生きて、もっと苦しめってこと? ……ああ、そうなんだ。 まだ足りないなんて。
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