第4話

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      薬のせいか、ぼんやりしていると直ぐに眠くなってしまう。 このまま、目が醒めなければいい。 もう二度と。 うつらうつらした意識の中、ふと人の気配で目が醒めた。 病室には似つかわしくない甘い花の香りが鼻をつく。 反射的に顔を歪めると、視界の先に優雅に微笑む女性が見えた。 「こんにちは」 「……」 目が合うと、ヒールをカツカツと鳴らしながら、わたしに近付いてくる。 陸の婚約者は、両手に真っ赤なバラの花束を持っていた。 その深紅のバラは、血を連想させる。 一体、何のつもりなの。 嫌がらせにもいい加減にして。
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