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上半身を起こし、威嚇するように彼女を睨みつける。
一連の出来事に彼女は深く関わっている。
わたしを拉致しようとしたのは、彼女しか有り得ないのだ。
もしかすると、愛莉を唆したのも、彼女なのかもしれない。
彼女の視線が何かを見つけたように、わたしの左手首で止まった。
次の瞬間、彼女の口角が僅かに上がる。
その一瞬の表情をわたしは見逃さなかった。
「手首を切ったんですって?本気で死のうと思ったの?」
「貴女には関係ありません」
きっぱり言い切ると、彼女は手にしていた花束をベッドの上に投げるように置いて、
それからわたしの瞳の奥を覗きこむようにじっと見詰めてきた。
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