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むせ返るような甘い香りに眩暈がする。
堪らず目を逸らしたわたしに、彼女は顔を近づけて囁いた。
「助けてあげる」
「…………」
一体、何からわたしを助けると言うのだろう。
彼女が余計なことをしなければ、わたしは陸の暴力に堪えるだけで良かったのだ。
家族まで失う必要は無かった。
ここ最近起きた出来事は、彼女の仕業で間違いない。
きっと、そうだ。
確信を持って彼女を睨むと、彼女は何を思ったのか、花が綻ぶように微笑んだ。
その表情がわたしの感情を益々煽っていく。
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