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夢にしては、首に残る生々しい感触にゾッとしながら
身体を起こして病室を見回すと、彼女が持ってきたバラの花束が床に落ちていた。
あぁと溜め息を吐いて、彼女に絞められた首に手をあてる。
すると、爪で傷ついたのか、ピリピリとした痛みが走った。
「……痛い」
掠れた声が鼓膜に響く。
彼女が言ったことは、本当だろうか。
何も考えたくないのに、誰もそれを赦してくれない。
「もう、止めて」
お願いだから。
そう呟きながら、ベッドに倒れこむように横になった。
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