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血相を変えた陸が病室に入ってきたのは、それから数時間後のことだった。
「友香」
乱暴にわたしの肩を掴んで揺り起こすと、陸はわたしを抱き上げようとする。
「陸?」
「マンションに戻るんだ」
「え?」
「彩夏がここに来たと聞いた」
「……」
「悪かった」
陸はわたしを横抱きにすると、そのまま病室から連れ出した。
抵抗するのも面倒で、陸に身体を預けるようにその首に腕を回す。
もうどうでもよかった。
わたしを傷つける人は、陸だけでいい。
落とされないように陸にしがみ付くと、その身体が驚いたようにビクリと震えた。
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