第4話

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   陸のマンションに戻ると、驚いたことに陸はそのまま寝泊りするようになった。 朝起きれば陸が隣にいて、夜になるとここに戻ってくる。 最初は戸惑ったものの、直ぐにそれにも慣れてしまった。 「……おかえり、なさい」 「ああ。ただいま」 ぎこちなく言葉を交わし、陸が手にしている紙袋を受け取る。 「また、こんなに……」 中身は決まってお惣菜だ。 スーパーに買出しに行くと言うのに、陸は頑なにわたしの外出を赦さない。 わたしを誰にも会わせないつもりなのか、食材の宅配業者すら断ってしまったのだ。
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