第4話

38/38
前へ
/38ページ
次へ
      「それに、陸も知っているように、わたしはもう家族の元には戻れないから」 わたしに、帰る場所は無い。 最初から、一人きりだった。 誰にも愛されない。 必要とされていない。 わたしに向けられるのは、理不尽な憎悪だけ。 「泣くなよ」 「え?」 陸に言われるまで、自分が涙を流していることにも気がつかなかった。 指先で涙を拭って席を立つ。 逃げるように寝室に入るとベッドに身体を投げ出した。 泣いても何も変わらない。 どんなに願っても、わたしの望みは叶わない。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

510人が本棚に入れています
本棚に追加