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「それに、陸も知っているように、わたしはもう家族の元には戻れないから」
わたしに、帰る場所は無い。
最初から、一人きりだった。
誰にも愛されない。
必要とされていない。
わたしに向けられるのは、理不尽な憎悪だけ。
「泣くなよ」
「え?」
陸に言われるまで、自分が涙を流していることにも気がつかなかった。
指先で涙を拭って席を立つ。
逃げるように寝室に入るとベッドに身体を投げ出した。
泣いても何も変わらない。
どんなに願っても、わたしの望みは叶わない。
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