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「紅茶をどうぞ」
絶妙のタイミングで陸がわたし達に紅茶が入ったティーカップを差し出した。
その瞬間、愛莉から刺々しいオーラがスッと消えていく。
その愛莉の様子を見て胸騒ぎがした。
愛莉の表情が女特有の厭らしいものに変わったからだ。
「陸さん」
愛莉が媚びるように陸を見詰めて身体をくねらせる。
愛莉、止めて。
そう言いたいのに言葉にならない。
陸は、首を少しだけ傾けて愛莉に視線を移した。
愛莉はもう陸しか見ていない。
自分の魅力を最大限に引き出すように、上目遣いで陸を見詰める。
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