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ソファーから立ち上がって愛莉を見下ろした。
「愛莉」
自分でも驚くほど、低い声だった。
胸の奥から沸々と湧き上がるこの感情をなんと呼ぶのだろう。
感情のメーターが振り切れて、コントロール出来ない。
「いい加減にしなさいっ」
愛莉の頬をめがけて掌を手加減なしに振り下ろす。
次の瞬間、乾いた破裂音がして、愛莉は陸の胸に倒れこんだ。
「自分が何をしているのかわかっているの?
父さんと母さんが愛莉がしていることを知ったら、どれだけ悲しむと思っているの!」
「友香」
「陸は黙ってて」
打たれた頬を押さえて、愛莉は身体を震わせていた。
愛利を打った右手がビリビリと痺れて、身体中に広がっていく。
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